葬儀社と僧侶の連携
当寺は主に名古屋で活動しており、名古屋近辺の様々な葬儀会館で葬儀のお手伝いをさせていただいております。葬儀が始まる前には、僧侶と葬儀社で必ず事前打ち合わせを行います。
打ち合わせの主な内容は以下の通りです。
・葬儀の流れ(式次第)の確認
・読経時間の確認
・お焼香のタイミングの確認
名古屋の一般的な葬儀の流れでは、午前11時に開式した場合、午後12時には出棺(葬儀会館を出発して火葬場へ向かう)となることが多いです。
その限られた時間の中で、葬儀式だけでなく、故人との最後のお別れの時間(棺を開けてご遺族と故人の対面、お花入れなど)も設けます。僧侶は、このお別れの時間を考慮しながら読経を行う必要があります。
葬儀社が特に気にされるのは、僧侶の読経が長引いてしまい、お別れの時間が十分に取れなくなることです。出棺が遅れてしまうと、火葬場への到着も遅れ、多くの方にご迷惑をおかけすることになります。
火葬場は事前に予約制となっているため、なるべく遅れないようにスムーズに進行することも葬儀社の重要な役割です。そのためには、葬儀社だけでなく僧侶の協力も不可欠となります。
読経時間の調整
ご遺族様のご希望で、お別れの時間を少し長く取りたいため、読経の終了時間を少し早めていただくことは可能でしょうか?
もちろんでございます。何時までに終えればよろしいでしょうか?
このようなやり取りはよくあります。
この話を聞くと、「読経を省略することもできるのか?」と思われるかもしれませんが、ご安心ください。葬儀や法要での読経は、様々なお経の組み合わせ(式次第)によって構成されており、その組み合わせを調整することで読経時間を調整することが可能なのです。
私も葬儀や法要の際には、常に時間を意識しながら読経をしています。私たち僧侶も読経のプロです。ただ速く読めば良いというものではありません。
当寺では、無理のない範囲で、皆様のご要望に臨機応変に対応させていただきます。読経時間の調整は、葬儀だけでなく法要でも可能です。
皆が気持ちよく執り行えるように
当然のことですが、葬儀において僧侶が主役ではありません。葬儀とは、故人を偲び、ご遺族、葬儀社、僧侶がそれぞれの役割を担い、協力して作り上げていくものだと考えております。
もし僧侶側が通常通りの読経時間で執り行いたい場合は、事前に葬儀社へ「5~10分ほど早く始めてもよろしいでしょうか?」と相談し、対応をお願いすることもできます。何よりも、葬儀も法要も、関わる全ての方が気持ちよく執り行えることが大切です。
まとめ
葬儀社は、葬儀を滞りなく進行させる、まさに葬儀のプロフェッショナルです。私たち僧侶も、読経や仏教の教えを伝えるプロフェッショナルです。
ご遺族が安心して、そして滞りなく葬儀を執り行えるように、葬儀社と僧侶が互いに協力し、良い連携を築くことによって、ご遺族に「良い葬儀だった」と思っていただける。それこそが、私たちの重要な役割であると考えています。