僧侶のプライベートをHPに掲載することについて
僧侶も、日々の法務を終えれば、家族と過ごす大切な時間があります。私自身も家庭を持ち、法務後には家族との団らんを楽しんでいます。しかしながら、僧侶個人の家庭環境や家族に関するプライベートな情報を、お寺の公式ホームページや公式SNSに掲載することには、慎重になるべきだと考えています。
不特定多数の方が閲覧できるホームページやSNSにおいては、僧侶のプライベートな情報は公開を控えることが賢明でしょう。実際、お子様との写真やご家族との写真などを積極的にアップされている僧侶の方も多く見受けられます。その意図は、親しみやすさを感じてもらいたい、日々の出来事を共有したい、あるいは話題性を高めたいといった様々な理由からくるものと思われます。
しかし、プライベート情報の公開には、注意すべき点があるということをご理解いただきたいと思います。
お寺のHPに求められる情報とは
お寺のホームページに求められる情報は、基本的に以下の要素で構成されるべきだと考えられます。
・どのような活動をしているお寺なのか
・どのような施設があるのか
・どのような住職なのか
インターネットでお寺を探している方が最も知りたい情報は、そのお寺でどのようなことができるのかという点である可能性が高いでしょう。検索を通じてホームページにたどり着いた方は、お寺の活動内容や提供しているサービスに関心を持っていると考えられます。
そのような方々にとって、僧侶のプライベートな情報は必ずしも必要ではありません。もちろん、プロフィール欄に僧侶の経歴や趣味などを記載することは、親しみやすさを感じてもらう上で有効かもしれません。
新たなご縁を求めているお寺であれば、まず「どのようなことができるお寺なのか」を明確に伝えることが重要です。もし僧侶のプライベート情報を発信したいのであれば、公式ホームページとは別に、個人用のホームページやSNSアカウントを開設し、そちらで発信する方が適切であると考えられます。
家族構成を公開することのリスク
不特定多数の人が閲覧する公式ホームページで僧侶のプライベート情報を公開してしまうと、意図せず家族構成や家族の顔写真などの個人情報が広まってしまうことになります。
インターネット上に公開された写真は、容易にコピーや転載が可能であり、半永久的に残り続ける可能性があります。檀家様や良識のある方々だけが閲覧するのであれば問題は少ないかもしれませんが、インターネットの世界には様々な人が存在します。
公開された家族構成の情報が、企業による営業活動や電話勧誘に利用される可能性も否定できません。例えば、お子様の年齢が分かれば、教育関連商品の勧誘などに繋がることも考えられます。
犯罪に繋がる可能性
企業による営業活動に利用される程度であれば、まだ影響は小さいかもしれません。しかし、僧侶のプライベート情報を発信することは、その僧侶の行動範囲や生活パターンに関する情報を漏洩してしまうことに繋がる可能性があります。
例えば、SNSで「家族と〇〇へ旅行に来ています!」と発信した場合、現在お寺に不在であることが公になってしまいます。お寺に人がいない時間帯が特定されれば、空き巣などの犯罪者に狙われるリスクが高まります。また、幼いお子様の存在や顔写真が公開されている場合、残念ながら誘拐などの凶悪犯罪に巻き込まれる可能性も皆無ではありません。
インターネットは、使い方を誤ると重大な犯罪に繋がる危険性を孕んでいることを認識しておく必要があります。
まとめ
インターネットでの情報発信を積極的に活用している私としては、「インターネットはやはり危険だ」とか「利用しない方が良い」といった誤解を生むことは避けたいと考えています。
どのような活動にもリスクは存在するため、情報発信する際には「この情報は公開しても問題ないだろうか」と立ち止まって、少しだけ意識することが大切です。
インターネットは、適切に活用すれば非常に強力な情報発信ツールとなります。お寺を探している方々や、新たなご縁を求める方々との繋がりを大きく広げることができます。公私の区別を曖昧にしたまま、安易に情報を発信することは、避けるべきであると考えます。