ホームページの重要性
新たなご縁を繋ぎ、より多くの方々との接点を持ちたいと願うお寺は少なくないはずです。その実現において、ホームページ制作は重要な鍵となります。
ここでは、お寺にとってホームページがどれほど重要であるかを改めてご説明いたします。
ホームページはお寺の看板
お寺のホームページは、現代におけるお寺の顔、まさに看板と言えるでしょう。
・どのような活動をしているお寺なのか
・どのような施設を備えているのか
・住職はどのような人物なのか
これらの情報をホームページを通じて発信することで、地域の方々や関心を持つ人々は、そのお寺がどのような場所なのかを具体的にイメージすることができます。
ホームページ作成の第一の目的は、見栄えの良いデザインだけではありません。訪れる人々にとって有益で分かりやすい情報を的確に届けることこそ、ホームページ本来の役割です。
HPがない=お寺は存在していない
以前よりお伝えしておりますように、新たなご縁を求めているお寺にとって、現代においてホームページが存在しないということは、「お寺が存在していない」のと同じ状況と言っても過言ではありません。
普段お寺との関わりのない方々にとって、インターネットは重要な情報源です。検索エンジンでお寺の名前を検索しても何も表示されなければ、人々はお寺を見つける術を持ちません。
最低限、Googleマップに表示されるように対策することは必須です。さらに、Googleビジネスプロフィールに登録することで、より多くの人々がお寺を見つけやすくなります。
HPがあるだけではいけない
ホームページは、制作して終わり、あるいは放置しておけば良いというものではありません。実際に、制作されたものの長年更新されていないと思われるお寺のホームページは数多く見受けられます。
更新頻度の低いホームページは、高度なGoogleのアルゴリズムによって認識され、検索順位や評価が著しく低下する傾向にあります。社会情勢や人々のニーズが常に変化していくように、お寺のホームページの内容も、日々の変化に合わせて更新し、常に最新の情報を提供していく必要があります。
本山主導での対策の必要性
現状、当宗派(真宗大谷派)においては、各寺院に対しホームページ制作を積極的に推進するような具体的な対策や方針は打ち出されていません。
数年前、私が住職を継承する際に参加した「住職修習」の場では、住職候補の方々から「ホームページを活用した情報発信を強化すべき」という意見が多数出ておりました。しかしながら、本山から具体的な推進策や明確な方針が示されることはなく、現状は各寺院の自主性に委ねられている状況です。
その結果、全国の真宗大谷派寺院でホームページを開設しているお寺はごく少数に留まり、開設していても情報が古かったり、現代のニーズに合致しない内容のホームページも散見されます。
このような現状を鑑みると、各寺院が個別にホームページを制作するのではなく、本山が主導となり、一定の方向性や統一感を持ってホームページ制作を進めていく必要があると考えられます。それこそが、宗派全体の活性化に繋がる有効な一手となるのではないでしょうか。
時間や予算をHP制作に割くべき
真宗大谷派は、同朋会運動の推進、真宗再興、宗門の基盤強化といった目標を掲げています。これらの活動が重要であることは言うまでもありません。しかしながら、現代社会において不可欠なインターネットを活用した情報発信に関する具体的な政策は、残念ながら見当たりません。
宗門の基盤を強固にするためには、現代の社会構造に即した情報発信戦略が不可欠です。本山のみが情報を発信するのではなく、全国の各寺院が地域に根差した情報を積極的に発信していくことこそ重要です。そのため、各寺院が持つホームページは、強力な情報ネットワーク、あるいは社会インフラとなり得る可能性を秘めています。
宗派は、この現状にもっと危機感を持つべきではないでしょうか。現代社会に合わせた真宗再興や宗門の基盤強化、そしてそれらに必要な予算配分について、より積極的に議論するべき時期に来ていると考えます。
宗派活性化のためのHP制作
先にも述べましたが、当宗派は宗門の教化体制の充実に力を入れていますが、その施策の中に「お寺のホームページ制作支援」という項目は含まれていません。宗派や宗門を活性化させたいという願いは理解できるものの、現代において最も必要とされている施策が欠落している現状は、理解に苦しみます。
具体的な取り組みについては、より活発な議論が必要ですが、例えば、本山が複数のホームページテンプレートや運用ノウハウを全国の各寺院に無償で提供し、寺院側はレンタルサーバー代(月額1,000円程度)のみを負担する、といった仕組みづくりなどが考えられます。もちろん、これらの取り組みは強制ではなく、各寺院が自主的に選択できる形が望ましいと考えます。
各寺院のホームページデザインに一定の統一感を持たせることで、ホームページ訪問者にとって情報がより見やすく、理解しやすくなるというメリットも生まれます。さらに、本山が各寺院のホームページを定期的にチェックし、必要に応じてサポートを提供する体制が整えば、より効果的な運用が期待できます。
定期発行物の削減にもなる
本山から毎月送付される定期発行物の量は膨大です。同朋新聞をはじめ、教化冊子、A4サイズのチラシなど、その出版にかかるコストは決して少なくないはずです。
これらの教化冊子や大量のチラシ等は、各寺院へのダウンロード配布に切り替えることも検討すべきです。あるいは、各寺院からの申請に基づいた配布制にすることも一案です。これらの配布方法をデジタル化することで、本山にとっては印刷コストの大幅な削減に繋がるはずです。
当宗派は依然として紙媒体による配布物が非常に多いため、この点を改善できれば、受け取る側の寺院としても非常に助かります。
宗議会議員の方からぜひご提案を
当宗派には、国の国会議員に相当する「宗議会議員」の方々がいらっしゃいます。さらに、内閣総理大臣に相当する「宗務総長」、国務大臣に相当する「参務」といった役職の方々によって宗派が構成されています。国会と同様に、宗議会において様々な決定や議論がなされます。
本来であれば、このような宗派を代表する方々が率先して宗議会に提案を行い、迅速に実行に移していくことが、円滑な議会運営のあるべき姿であると考えます。本山が専門家を交えた「ホームページ制作推進室」のような専門部署を立ち上げ、ICT政策に特化した取り組みを強化していく必要があるのではないでしょうか。
まとめ
宗派に対し、多岐にわたり意見を述べさせていただきましたが、本気で宗派の活性化を目指すのであれば、「ホームページ制作支援」は現代において必要不可欠な最重要課題であると確信しています。「宗派が率先してホームページ制作を推進するなら、うちのお寺もホームページを作ってみようか」と考えるお寺は少なくないはずです。ウェブサイト制作の知識が乏しい私でさえ、このホームページを2週間程度で一から作成することができました。
壮大な理想を掲げることも重要ですが、まずは「今、取り組むべきことは何か」「多くの方々が求めていることは何か」という足元の課題に、一つひとつ着実に取り組んでいくことが大切であると考えます。