遠回りすぎる対策
真宗大谷派(東本願寺)が運営する真宗教化センターしんらん交流館に「寺院活性化支援室」というものが設置されております。
これは現在真宗大谷派が進めている寺院の活性化やお寺の活動をサポートしているようです。
定期的に寺院向けのガイドブックも出しており、寺院活性化への道しるべ的なことが書かれております。
しかしこのガイドブックに書かれていることは、「寺院の本来のあるべき姿」というのは理解できますが、即効性に乏しく今本当に困っている寺院にはとても遠回りすぎる対策であると感じます。
例えば
・おしゃべりすることから始めよう
・集まる場をつくることから始めよう
本当にイチから始めることが寺院活性化に繋がるのでしょうか。
この対策ではあまりに皆様との繋がりやご縁を重視しすぎていて、寺院運営に必要不可欠な収入を確保できません。
この寺院活性化対策はどちらかと言うと、多くのご門徒(檀家)を抱える裕福な寺院向けという印象であります。
恵まれている規模の大きな寺院はこういった活動を行う余裕があります。
しかし困窮寺院はイチから始めて、10~20年後に結果が結び付くまたは結果に結び付くかどうかわからないような対策では遅いのであります。
コロナ前から仏事の縮小化や小規模化は進んでおりましたが、コロナが決定的となってさらに小規模化は加速して困窮寺院が増えました。
今後も困窮寺院は増えていくだろうと予測しています。
さらに少子化や人口減少でますます加速していくと思っています。
今もまだコロナの状況もいつ酷くなるかわからないため、もうこういった流れは以前のように戻らないであろうと考えています。
ただ元には戻らないけれども、形を変えた別の寺院活性化のやり方はあると思っております。
本来の寺院活性化対策とは
・今困っている寺院を救済する具体的な方法
・どうしたら結果(収入)に結び付くのか
このあたりが現状困っている寺院が求めている情報であると考えております。
しかし寺院活性化支援室はあまりに理想を追い求めすぎていると感じてしまいます。
全国8,800もの寺院を抱える東本願寺だけでは、実践できることに限界があるというのは理解できます。
ただちょっと現実世界とあまりにズレがありすぎて、今本当に困っている寺院にはこの対策では問題解決にはならないと思います。
もっと即効性のある対策や改革が必要であると考えております。
やはりこの資本主義経済社会の中で生きていく中で、お寺というものも運営資金が当然必要であります。
例えば当寺にも複数の僧侶が所属しておりまして、その僧侶たちにもそれぞれ家庭や家族があります。
そのため当寺はその僧侶へ毎月生活の保障をしないといけません。
そうなると当然お寺も結果(収入)が求められるのであります。
本当にこれはキレイごとではなく、僧侶も明日の生活が掛かっているのであります。
まとめ
困窮寺院に今もっとも必要なのは、収入(運営資金)であることは間違いありません。
ただあからさまに収入が必要とはお寺の立場上なかなか言えないものです。
ただ困窮寺院側も結果に結び付く努力は継続して行っていく必要があり、何も努力をしていないのに結果に結び付くほど甘くはありません。
余裕というものがあって始めてそこからご縁づくりや教化活動というものを始められるのではないかと思っております。
それに金銭面は精神面にも直結しており、どちらにも余裕(ゆとり)がないと皆様とのご縁づくりを行うのは難しいと考えております。
お寺のあるべき姿や理想を掲げるのは十分わかりますが、理想だけでは語れないまたは見えてこない現実問題というものがあります。
その現実を正面から向き合って真剣に取り組んでいくことが、本来の寺院活性化支援室の役割ではないかと考えております。